【猫論】ひめたん、再入院 ~Book Of Days 10

 連休明け、平日は通常どおり面会は15時からになった。そうなると前日の面会より3時間遅いから、間隔が長くなる分、ひめたんが心配になる。たった3時間でも、「来ない」とか感じたらかわいそうだ、と思ってしまうのだ。動物に時間の概念はないから、この程度の差であれば何も感じてないはずだが、たとえば、もぐもぐは僕がいない日が続くと精神不安になって、1週間経過すると叫んだり下痢になったりする。最初はたまたまかと思ったが、毎度そうなるので、これはもう親を泣いて探す子供と同じなのだと。特にもぐもぐは目が開く前から育て、うっすら視界が出てきたときにも僕が毎時間、顔を覗き込んでいたから、生まれて初めて見たものが僕なのだと言っていい。日頃の行動も親離れできない子供同然である。

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 ひめたんはそれと比べたら、ツンデレタイプ。特にベタベタもしないし、呼んでもサッと来るわけじゃない。抱こうとすると「何するのよ」という感じで一声、鳴く。ただ、こっちが黙って仕事をしていると、静かに忍び寄ってヒザの上に乗ってくることもあって、いかにも猫っぽい気まぐれだ。だから僕が面会に行っても、特に喜ぶような素振りは見せず、少し顔を上げて「認識」を示す程度だ。それでも他人を見る目との差異は明らかにあるので、少なくとも「ああ、この人ね」と僕を分かってはいるのだろう。

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 出発時、退院を願ってキャリーケースを持っていくことにした。退院はできないだろうが、そういう前向きな準備をすることで、「笑う門には福来たる」的に行動するのがいい。僕は仕事上でもわりとそうだ。20代前半の一時期、仕事の愚痴ばかり言ってた頃があった自分が嫌で、「辛いことでも楽しく乗り越えよう」と頭を切り替えるようにした。記者が続いたのも、新聞社でちょっと意地悪な上司がいたのに、「この人に好かれたらうまくいくはずだ」と思ってスキルを盗むことが苦でなかったからだ。地方の取材で駅前から他社の記者がみんなタクシーを使って移動していたところ、ウチの社はタクシー代の経費が落ちないことが基本で、バスか徒歩だった。当然、不満を抱える要素だが、このときも「どうせなら目的地まで何か記事になるネタを見つけてこよう」と、早く出発して寄り道をしたら、社会面のネタを増やすことができて、そういう日常が後々のフリーランスでの活動に大きく役立った。毎月の収入が上下する身だが、少ないときは「いまなら何か別のことができるぞ」と思って、実際に何か行動する。そういうことが、ちょっとしたプラスになっていくものだと思っている。猫の看病は大変だが、そういう貴重な経験をさせてもらってると考えたい。経験が増えれば自分の価値は上がる。特にいまの時代、ネットを見て知った気になったような人も増えているから、実際に行動して、見たり聞いたりしたリアルな経験の方が活かしやすいし、自分の人生にとっても損はない。人間だから完璧にそうするのは無理で、ときに涙が出ることも、人生を全否定したくなる時もあるが、次の瞬間には前向きになるよう努める。それができれば、閉じていた道が開けることもある。

 いつもどおり、ひめたんに会い、新しいエサを開けて与え、顔を撫でてあげた。一昨日より昨日、昨日より今日、という風に良くなっているように見える。腹の動きで分かる呼吸は速くないし、口も痛がらずエサの食べ方も戻りつつある。高齢化、腎臓の悪化、貧血、ネガティブな要素は揃っているが、まだ回復はできるのだということがすこしでも分かるだけで救われる。病院では点滴に繋がれたままだから、これをどう維持していくかが今後のテーマでもあるが、医師には、「ひめたんは本当によく頑張って、私も嬉しいです」と言われた。そして、ついに「明日、退院できると思います」と、ずっと待っていた言葉が聞けた。
 すでに撮られたレントゲンでは肺の曇りが薄くなっていて、完治ではないが今夜、酸素ハウスから出してみて、問題ないようなら退院になるという。血液検査の結果も、いくつかの部分で少々の回復が見られた。



「ただ、高齢ですから、これからも点滴は欠かせなくなるし、ステロイド系の薬の効き目がきれたら、口の痛みが再発するかもしれないので、できれば続けた方がいいです。犬よりはステロイドの悪影響は少ないですからね。週1で貧血のための注射も必要で、食事もちゃんと取らせないといけないので、ケアは大変でしょうけど、まだまだ長生きさせてあげたいですね」(医師)

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 明日、退院の許可が出たら、当面の間は病院に週3の点滴に通わなければならないが、いずれ自宅で自主的な点滴ができるように変えるべきだと言われた。以前より付きっきりになってしまうが、これもまた運命が与えた、ひめたんとの日々なのである。ICUでは目頭が熱くなることもあったが、この日は笑顔でひめたんに「明日、迎えに来るね」と言って別れることができた。空っぽのキャリーケースを持ちながらの足取りは通院の中で一番、軽かった。(片岡亮)

コメント

コメント(4)  最新コメントへ  
[ 637612 ]  No title
ほっとしました。
無事に帰宅されることをお祈りしております。

北の46年会  #-

2020/02/11 編集返信
[ 637613 ]  No title
片岡さんのうれしさが伝わってきますね。
これから大変・・・・でもないかな、また一緒に暮らせる喜びと比べたらたいしたことではないんでしょうね。

無理  #-

2020/02/11 編集返信
[ 637617 ]  No title
猫が本当に好きと伝わります。

パンデュース  #-

2020/02/11 編集返信
[ 637619 ]  No title
ご心配をおかけしました。日記を書くのが追いつかなくてすいません。すぐに次回を書きます。

★片岡亮 (NEWSIDER)  #-

2020/02/11 編集返信
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