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【猫論】マレーシア都市封鎖から2週間を過ごしてみた!逮捕者続出で規制追加

 マレーシアで「都市封鎖・外出制限」が発令されたのは、僕がインドネシアから戻った翌週の3月16日だった。就任したばかりの新首相が「18日から」と発令。当時、世界の感染者数はまだ16万人ほどだったが、マレーシアではモスクでの礼拝による集団感染が出て、通算553人となって危機感が一気に高まったからだ。

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 マレーシア感染状況

 いまや世界80万人が感染、中国の発表がまったく信用ならないから最近では海外メディアが中国抜きの数字を書くようにもなっている。もしかしたら、とっくに100万人を超えているかもしれない。マレーシアは今朝時点で2766人が感染、昨日より140増えた。回復は537人(前日より58増)、死者43人(前日6増)だ。僕の住むセランゴール州は704人の感染者数で最多、死者は4人でトップではないが、一部でレッドゾーンとして警戒エリアも指定されている。僕は日本への帰国予定をずっと延期中で、猫たちと暮らしているから、マレーシアに戻ることができなくなるリスクは絶対回避しなければならない。日本での仕事は電話やメールの取材と、日本にいる記者に頼んでいる。

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 ショッピングモールはほとんど人がいなくなって不気味

 制限後、マレーシアでの生活はどう変化したか。最初に出された制限は、(1)イベントや集会禁止、スーパーマーケットやコンビニなど日常必需品を販売する以外の店舗、礼拝施設を閉鎖。(2)マレーシア人の出国禁止、帰国者は14日間隔離。(3)外国人渡航者の入国禁止。(4)幼稚園、学校を閉鎖。(5)高等教育機関なども閉鎖。(6)政府機関と民間企業は水、エネルギー、通信、輸送、放送、金融、医療、治安、清掃、食料供給など主要インフラ(ライフライン)を除き閉鎖。…というもの。期限は3月31日までだった(イベント開催は4月30日まで)。

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 いつも賑わっていた携帯電話の店は全部閉店

 僕の住んでいる郊外のコンドミニアムは駅やバス停から徒歩数分で、ショッピングモールと隣接。もともと日頃の買い物はそのモールでほとんどが済んでいた。スーパーマーケットはもちろん、多数の店舗があって、日本のダイソーもある。レストランも多数、マレーシア料理や中華料理はもちろん、寿司などの日本食、韓国料理、タイ料理、ローストチキン、イタリアン、中東、ハンバーガーやフライドチキン、サンドイッチ、ドーナツのファストフード、タピオカティー、アイスクリームなど。ただ、同じモールとの往復では飽きてしまうから、50円程度で乗れるバスで15分ほど移動して別のショッピングモールや商店街に行ったり、ときには電車に乗って30分ぐらいでクアラルンプール中央の都市部へ行くのは、千葉や埼玉から東京へ行くような感覚だ。僕はファストフードやファミリーレストランは好きではないので、その類が多いモールで食べるのはもともと好きじゃない。商店街にある店や屋台の方が値段も安いし、美味しい。制限後はその行動範囲が狭くなった。モール内はスーパーマーケットとレストラン、薬局、コンビニ以外は閉店していて、レストランは出前と持ち帰りのみ。カフェで休むこともできないから、ぶらっと歩きまわる理由がなくなる。外食は隣のモールから持ち帰るか、出前アプリを使うことになり、そうなるともっと選択肢が多い出前の方が増える。ただ、生活必需品は普通に買えるから大騒ぎする話ではなかった。気晴らしができないな、というぐらいだ。



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 隣接モール内マーケットはまったく混雑なし
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【猫論】インドネシア取材が夢の跡~ジョグジャカルタ世界遺産とジャコウネコ

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  ※3月5日・撮影時のみマスクを外した

 今月上旬、インドネシア・ジョグジャカルタに取材に出たときの写真を見返すと、それがまるでウソのように思える。もちろん終始マスクをして、空港の検疫を受けたりしながらだったが、道中に緊迫した様子はなかった。マレーシアに戻った後、1週間ほどで全土封鎖が発令され、僕は日本への帰国予定を延期した。猫たちと暮らしているから、何より怖いのはマレーシアに戻ることができなくなること。そのリスクは絶対回避しなければならないから、許された外出以外は、ずっと家の中にいる。結果的にジョグジャカルタ取材が最後の出張取材となった。それはとても昔の出来事のように感じるのだ。

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 ジョグジャカルタに前回、来たのは08年のことだから12年ぶりだ。前回はレンタカーを借りたが、今回はタクシーをチャーターして動いた。ボロブドゥール遺跡、プランバナン寺院の世界遺産は入場料が数倍になっていて驚いたが、その壮大な景観の素晴らしさは、何度も見返していた過去写真では残せていないものだった。

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 ここに来れば、それが本当に分かるだろう。観光客は多くはなかったが、国内の学生旅行の一行もいたし、少ないというほどでもなかった。朝から曇っていて午後から雨が降ったが、そのぐらいの方が涼しくて活動はしやすい。

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【猫論】マレーシア全土封鎖!移動制限、入出国禁止!さあ猫たちと引きこもるぞ

 マレーシアでは昨夜、就任したばかりのムヒディン・ヤシン首相が、新型コロナウイルス対策の緊急発表を行ない、3月18日から31日までの活動制限を伝え、事実上の全土封鎖とした。世界16万人以上が感染し、6443人が死亡。マレーシアでは死亡者はないが、15日に190人、16日に125人の感染があり通算553人に急増。大半は入院し、うち42人が回復したが、感染症予防管理法などにより活動制限令を発することになった。国内すべてのテレビ局で放送された発表は以下のとおり。

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1 宗教、スポーツ、社会、文化活動を含む大規模集会は禁止。商業施設はスーパーマーケット、市場、食料品、コンビニエンスストアなど日常必需品を販売する店舗を除いてすべて閉鎖。イスラム教のモスク礼拝など宗教活動は、先に26日まで礼拝を行わないことを決定したことに基づいて礼拝施設を閉鎖。

2 マレーシア人の出国を禁止。海外から帰国した者は健康診断と14日間の隔離。

3 観光客、外国人渡航者はすべての入国禁止。

4 幼稚園、学校を閉鎖。

5 公私の高等教育機関、技術訓練校を閉鎖。

6 政府機関と民間企業は水、電気、エネルギー、通信、郵便、輸送、放送、金融、薬、消防、刑務所、港、空港、治安、国防、清掃、食料供給などの主要インフラ(ライフライン)を除きすべて閉鎖。

 首相は「我々は他国で短期間に数万人が感染する状況を見て、マレーシアで同様の事態が起きることを望まないでしょう。中国などでは思いきった政策で感染を激減させた事例もあります。国民がこの難局を乗り越えるため、パニックや不安に陥らず冷静に対処してほしい。食料、生活必需品、マスクなどの保健用品は十分にあり、消費者省がその動向を継続的に把握します。首相を長とする国家安全保障会議を毎日行ないます。活動制限令に関する質問がある場合は17日正午からホットラインが設けられます」とした。今後は治療できる病院を増設し、病院は感染者の拡大に備える。マレーシアに着岸するクルーズ船は補給品の追加のみ対応、マレーシア人のみ下船でき、健康診断と検査が義務付けられる。4月30日まで各種イベントは中止または延期。 一部公共料金などは4月から9月まで2%値引きを予定するという。

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 ※緊急事態でも「とりあえず寝る」人

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【猫論】ウチの猫たちを「会社」にしたら、役職はこうなった!

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会長 ミッくん
社長 ひめたん
部長 もぐもぐ
課長 ココ
社員 ナッツ



 闘病日記ばかりじゃ読むほうも辛いので、それぞれのキャラクターがちょっと伝わる見方を。「株式会社猫論!」があったらトップの会長はミッくんで間違いない。年を取るにつれ、より欲求を伝えるのがストレートになっていたが、基本ここぞというときだけ声を出してハッキリ伝えてくるから存在感が大。基本は細かいことは気にせず堂々としていたのも大物っぽい。温厚で他の猫たちが揉めると仲裁に入る一面もあって、みんなのリスペクトを集めた。ミッくんに逆らうのは誰もいなかった。
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【猫論】ひめたん、再々入院と点滴、そして酸素発生器 ~We make it better

 ひめたんの毎日点滴は少しでも彼女の負担を軽減するために自宅に医師を出張してもらったりもした。病院では医師に監督だけしてもらって注射をした。とても辛い作業だった。量は悩んだ。大学病院の医師には片側100CCづつの200を注入するよう言われていたが、ひめたんの体は小さく、消耗が見られたから自主的に減らした。本当に毎日必要なのかとも思った。1日おきでなくとも、3日やって1日休むとか、もう少し程度を考えられないか。腎臓が悪いのは分かるが、急な治療ペースのアップが僕にはどうしても心配だった。

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 その不安が的中したのかは分からないが、ひめたんが再々入院となってしまった。早朝、呼吸が荒くなって口を開けたままになり、大学病院に連れて行った。運悪く日曜日のことだった。24時間体制でもないため当然、入口はクローズ。それで諦めるわけにはいかない。ICUには人がいるはずなのを知っていたから、担当医に直接連絡を取ってから裏口に入った。ICUには思った以上の人たちがいたが大半がインターンの学生で、突然の緊急患者には戸惑うばかり。なんとか医師を求めると、女性医師が来てくれ、すぐに酸素ハウスに入れてくれた。すぐ横で別の猫が息を引き取ったらしく、白い布に包まれて重い空気が流れていたが、ひめたんのケアをしてもらえるかどうかで視線を移す余裕はなかった。医師に前夜までの様子を話すと、11時の面会時間に再び来るよう言われ、一度自宅に戻った。前夜は仕事がなかなか終わらず寝たのが3時ごろだったこともあり、ウトウトして10時過ぎに目が覚めたときに「少し眠ってしまったのか」と自覚した。

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【猫論】ひめたん、毎日の点滴 ~「吸の式」と「ロティジョン」

 マレーシアに来て困ったことは、まず郵便、通販、インターネットだった。クアラルンプール郊外に住んでいて、近くに郵便局がなく、かつ車を持ってない。コンドミニアムに接続されているショッピングモールにあったのは国内宅配便だけ。日本との国際郵便をどうスムーズに運ぶかは自分で探して見つけなければならなかった。もちろんGOOGLEマップで調べることはできるが、タクシーでしか行けないような僻地は郵便局とはいえど集配所だったり、受け取りのみの簡易局だったりした。

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 最終的には80セント(約21円)で乗れるバスでいくつか郵便局を見つけた。バス停2つぐらいの最短で行ける局は周辺にボロい食堂ぐらいしかなく、もう少し先のショッピングモール内にある方を常用している。片道10分程度。通販は前にも書いたが、トラブルが避けられないレベル。サイト側や業者側と多少の“応戦”を覚悟して使うが、中国発送を避ければトラブルの確率はかなり減る。支払いはクレジットカードもしくはセブンイレブンを使っている。

 ネットは自宅に引いているものの接続不良が多くて参った。かなり改善されているらしいが、僕の住んでいるコンドミニアムは築10年ぐらいで光ファイバーがなかった。それが最近新たに引かれて乗り換えてからは好調。というわけで、生活の不便さはほぼ改善できてはいる。



 いや、もうひとつあった。蚊だ。マレーシア人にとって日頃、最も気をつける病気はデング熱。蚊を媒介し、熱帯地域に多いウイルスで、通常は1週間、高熱や脱水症状、倦怠感などに苦しむ。効果のある薬もワクチンもなく、水分補給や解熱剤の対症療法しかない。パパイヤの葉を煎じて飲めばいいなど民間伝承もあるが、基本は「スポーツドリンクを飲んで寝ているしかない」といわれる。KL郊外に住んでいて、日常で蚊に刺されるタイミングは、川や水路が近い場所を通ったときぐらいで、ほかは特に蚊がうっとうしいときは多くはない。だから観光客が普通に街を観光したりする分にもさほど心配はいらず、ジャングルに入るツアーでもない限りはリスクは低いと思う。

 実際、僕も1年半以上いて問題はなかった。ただ、警備員がかかったことはあった。住んでいるコンドミニアムは湖畔にあるからで、月イチで殺虫剤が撒かれる日があるほど。そして、なぜだか一時期、高層階の部屋にやたら蚊が出たことがあった。日本人実業家が大成功した商品のひとつ「蚊取り線香」は、猫たちの安全を考えて使えない。できれば殺虫剤もあまり使いたくはない。そこで見つけたのがこれだ。

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 その名も「黒桃A」!黒桃とはスペードマークのことだと思うが、光触媒で蚊を誘引する最先端技術だそうだ。

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 フィルターにはこんな感じで蚊が溜まりまくるというので、20リンギ(530円)で購入。大いに期待した。…が、さっぱり蚊はフィルターに入らない。その後の1カ月で採れた蚊はゼロ!あー騙された。

 しかし、そんなときのためにもう1台、購入しておいたものがある。
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【猫論】ひめたん「良い知らせと悪い知らせ」 +マレーシアのコロナウイルス状況

 新型コロナウイルスこと「COVID19」の猛威は社会生活に影響を与え、クアラルンプールのスーパーマーケットからは野菜の半分ぐらいが棚から消えた。中国産野菜が入らなくなったからだ。僕はもともと中国産を買わないのでこれは好都合なのだが、いまマレーシアでは日本への警戒心も高くなっている。3月下旬からマレーシア人の友人女性2人が日本に2週間の旅行予定で、僕も同行して案内する予定だったが、昨日、航空会社に80USドルのキャンセル料を支払ってでも秋に延期することになった。桜を見るのをとても楽しみにしていたが、苦渋の決断だ。ほぼ毎月、日本と行き来している僕にも、いま「大丈夫か」と周囲から心配の声も続々あって、現地メディアの編集部からは「帰国後しばらくは自宅にいた方がいいのでは」との連絡も。日本人在住者の多い住宅地モントキアラにあるコンドミニアムのロビーでは、「中国、香港、シンガポール、日本から帰国した人は2週間以上、自宅に待機するべきだ」との張り紙が登場しているほどだ。

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 ※マレーシアでは一部のチェーンストアなどでマスクが無料配布。

 一般的に寒いときに流行するのがインフルエンザなどのウイルス感染症。日本では10度を下回ると患者が増えるとされる。北半球では11~3月、南半球では4~9月が、おおよそのシーズンだ。熱帯の東南アジアでは年中気温が30度前後だが、インフルエンザの流行は気温の変化に生じる湿度に関係していて、少し気温が下がる雨季に発症が多い。クアラルンプールの雨季は10~2月ごろで、1日のうち1度か2度、短い豪雨がある。飛沫感染は高温多湿だとウイルスが遠くに飛散できなくなって感染力が弱まるから亜熱帯エリアでインフルエンザが少ないのはそのせいだが、COVID19には、空気中に浮遊する粒子を通じるエアロゾル感染も認められ始めた。池上彰氏はテレビ番組で「WHO発表の致死率」を比較して「騒ぎすぎ」だという見解を話していたが、ウイルスは変異する可能性もあり、警戒すべきは感染力や経路の方である。

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 ※18日時点、マレーシアの感染者リスト。この手の表は経路を図にするのが定番。

 マレーシアの在留邦人数は2万人を超え、1年間ほぼ変わらない温暖で、日本人の口に合う食事が多く、一般的な日本製品も手に入りやすいし日本食レストランも多々、物価も安いいから長年、移住先1位となってきた。英語が通じるのも大きい。そして移住の条件に重要な医療水準も、先進国と変わらないレベルで大きな私立病院は院内の雰囲気も設備も日本のそれと同じ。英語ができなくても日本人通訳を常駐させていることが多い。なによりマレーシアはかなりの親日国で、笑顔で「日本人ですか?」と聞かれ、そうだと答えると日本語で「ありがとう」と言われたり、「日本旅行したい」「日本旅行したことがある」といった話をされることが日常になるが、習近平が日本政府に「大ごとにしないでくれ」と要請し、それを受けた日本政府が事態を小さく見せようとした話なんかも報道されて、「常に日本に出入りしている日本人」の僕は一転して警戒される身になってしまった。郊外に住んでいて生活上は近くのショッピングモールですべての用が済むから問題はないが、取材や仕事以外では繁華街へ遊びに行かないことにした。

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 そんな状況で動物病院の担当医から言われたのが、「良い知らせと悪い知らせがあります」。最後の血液検査を踏まえての診断だが、飼い主にとっては落ち込む言いまわしだ。

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【猫論】ひめたん、退院 ~Book Of Days 11

 退院できるなら早い方がいいということで面会時間ではなく、午前中に病院へ。この日のICUは人の出入りで穏やかな状態ではないことがすぐに分かった。ドアの開閉で、黒くて大きな犬が息を引き取ったところなのが分かった。僕は前日、この犬が横たわったまま便をしたのを見て、スタッフに知らせていた。どんな病状かは知らなかったが、連日の見舞いで面会者が来た様子はなかったから、内心「頑張ってくれよ」と願った。それが命の消える直前だったのかと思うと辛かった。

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 静かに歩を進めると、酸素ハウスはどれも空っぽだった。ひめたんを抱いた女性スタッフが銀色のケージに移すところだった。安堵した。呼吸が回復したと判断されたわけである。ひめたんは僕を見るなり、身を乗り出して「帰りたい」という意思表示をした。久々に彼女を抱きながら、まずは医師の到着を待った。その間、犬の飼い主と見られるインド系の人々が入ってきた。高齢者の女性と、体格の良い若い男性。女性の方はかなり落ち込んでいる様子で、ヒジャブを被った中年の女性医師にハグされていた。

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 しばらくして、その女性医師が僕のもとへやってきた。彼女はいつも厳しい表情をして、テキパキとスタッフに指示をしているが、僕の前では笑顔を見せてくれ、血液検査の結果や、しばらく飲む薬の説明などをしてくれた。細部まで心配を重ねた風の丁寧な話は、さすが小さな病院のそれと違っていた。週3度はやらなくてはいけない点滴については、「猫のストレスを考えたら、自宅でやった方がいい。最初は難しく感じるけど3度目、4度目と慣れていけばいい」と言った。これは正直、自信がなかったが、「僕にはできません」などと言うわけにはいかない。

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【猫論】ひめたん、再入院 ~Book Of Days 10

 連休明け、平日は通常どおり面会は15時からになった。そうなると前日の面会より3時間遅いから、間隔が長くなる分、ひめたんが心配になる。たった3時間でも、「来ない」とか感じたらかわいそうだ、と思ってしまうのだ。動物に時間の概念はないから、この程度の差であれば何も感じてないはずだが、たとえば、もぐもぐは僕がいない日が続くと精神不安になって、1週間経過すると叫んだり下痢になったりする。最初はたまたまかと思ったが、毎度そうなるので、これはもう親を泣いて探す子供と同じなのだと。特にもぐもぐは目が開く前から育て、うっすら視界が出てきたときにも僕が毎時間、顔を覗き込んでいたから、生まれて初めて見たものが僕なのだと言っていい。日頃の行動も親離れできない子供同然である。

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 ひめたんはそれと比べたら、ツンデレタイプ。特にベタベタもしないし、呼んでもサッと来るわけじゃない。抱こうとすると「何するのよ」という感じで一声、鳴く。ただ、こっちが黙って仕事をしていると、静かに忍び寄ってヒザの上に乗ってくることもあって、いかにも猫っぽい気まぐれだ。だから僕が面会に行っても、特に喜ぶような素振りは見せず、少し顔を上げて「認識」を示す程度だ。それでも他人を見る目との差異は明らかにあるので、少なくとも「ああ、この人ね」と僕を分かってはいるのだろう。

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 出発時、退院を願ってキャリーケースを持っていくことにした。退院はできないだろうが、そういう前向きな準備をすることで、「笑う門には福来たる」的に行動するのがいい。僕は仕事上でもわりとそうだ。20代前半の一時期、仕事の愚痴ばかり言ってた頃があった自分が嫌で、「辛いことでも楽しく乗り越えよう」と頭を切り替えるようにした。記者が続いたのも、新聞社でちょっと意地悪な上司がいたのに、「この人に好かれたらうまくいくはずだ」と思ってスキルを盗むことが苦でなかったからだ。地方の取材で駅前から他社の記者がみんなタクシーを使って移動していたところ、ウチの社はタクシー代の経費が落ちないことが基本で、バスか徒歩だった。当然、不満を抱える要素だが、このときも「どうせなら目的地まで何か記事になるネタを見つけてこよう」と、早く出発して寄り道をしたら、社会面のネタを増やすことができて、そういう日常が後々のフリーランスでの活動に大きく役立った。毎月の収入が上下する身だが、少ないときは「いまなら何か別のことができるぞ」と思って、実際に何か行動する。そういうことが、ちょっとしたプラスになっていくものだと思っている。猫の看病は大変だが、そういう貴重な経験をさせてもらってると考えたい。経験が増えれば自分の価値は上がる。特にいまの時代、ネットを見て知った気になったような人も増えているから、実際に行動して、見たり聞いたりしたリアルな経験の方が活かしやすいし、自分の人生にとっても損はない。人間だから完璧にそうするのは無理で、ときに涙が出ることも、人生を全否定したくなる時もあるが、次の瞬間には前向きになるよう努める。それができれば、閉じていた道が開けることもある。

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【猫論】ひめたん、再入院 ~Book Of Days 9

 DAY 9

 月曜日だが、チャイニーズ・ニュー・イヤー(春節)で祝日のため、この日も面会時間は午前中だった。朝、仕事ができない苛立ちを抱えながら、コンドミニアムのエレベーターに乗り、外に出ると、定休日のない近所の中華料理屋も、この日はシャッターが下りていて、それだけでも見慣れない風景のように感じた。カバンのポケットに細長い水筒を確認する。マレーシアでは、売られている大半の飲み物が甘い。緑茶やジャスミン茶のペットボトルが売られていても砂糖入りであることが多く、水以外は「綾鷹」とか「サントリー烏龍茶」ぐらいしか選択肢がない。だから基本、自分でお茶を作っておいて冷やして飲む。外出時は水筒に入れて出る。



 市販の茶葉1種類だと味が飽きてくるし、単調な感じもするから、常に2種類を混ぜる。緑茶とミントティーとか、マレーシアならではのフルーツ系(お気に入りはBOH TEA)や、アラビック・ティーも好きだ。南国だから冷やして飲むが、こっちの中華系の人々は冷たいものをあまり飲まない。「身体を冷やすのは良くない」という理由で、常温の水を持ち歩く人が多い。それは僕も分かっているのだがやめられない。30代後半ぐらいからか、若い頃の暴飲暴食ができなくなって胃が丈夫じゃないことに気付き、よく下痢や便秘を繰り返すようになったが、数年前からストレスを溜めないよう考え方を工夫し、生活スタイルにも反映させたら驚くほど改善した。僕は鼻も詰まりやすかったが、南国だとスムーズになる。おかげで体調は悪くないから、冷たい飲み物ぐらい自分に許している次第だ。

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 病院に着いて裏口のドアから中に入ったが、この日は受付の女性の姿もなく、静まり返っていた。すぐ横がスタッフの休憩所で、いつもなら人が出入りしているが、こちらも人はなし。11時になったのを見て勝手にICU内に入ると、ひとり男性スタッフがいて、許可をもらってひめたんのもとへ。

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【猫論】ひめたん、再入院 ~Book Of Days 7~8

 DAY 7

 この大学病院は土曜、日曜、祝日は面会時間が午前中11~12時だった。僕は毎朝だいたい7~8時に起きて前日までのメールをチェックし、机に向かう。依頼された仕事に追われていることがほとんどだが、情報というナマモノ相手だから実に予定が立てにくい。証言をメールでもらって完成させる原稿は、その証言だけがまだ未着のまま、おおよその原稿を書いて「待つ」こともあるし、仲間の記者に頼んだ確認事項を「待つ」ことも多い。僕は他のライターの手直しもやっていて、完成版を執筆者に確認してもらうのも「待ち」だ。この「待ち」が長いほど、その日の終業時間が遅くなる。ただ、11時に病院に行くとなると、10時までには仕事を切り上げるから、さらに仕事のペースダウンは避けられない。できなかった分は翌日に持ち越すが、何しろ頭を使う仕事なので脳の調子によって差が出る。スッキリしないときはブログがウォーミングアップ代わりになるが、いずれにせよ、遅れが出ては、そのしわ寄せで休みなどなくなる。気がつくと次週の週刊誌用にネタ企画の催促があって、複数の月刊誌も抱えている。ジャーナリストとして20年以上、こうして仕事が途切れないのは本当に幸運だが、ペース調整が難しい中での毎日の見舞いはなかなかハードだ。

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 それでも人の少ない休日の病院へ着くと、頭はひめたんのことでいっぱい。顔を見るまで彼女がどうなのか分からない。ひょっとしたら体調が悪くなっているんじゃないか、そんなネガティブな不安がどうしても襲ってくる。玄関口は閉じていて、裏口にまわるとドアがあり、そこから中に入るとちょうどICUの前に出た。いつもより、さらに静かで明かりの少ない院内。受付の女性に猫の名前を言うと、彼女は確認のため繰り返すが、「HIMETAN」は、「ヒミタン」に聞こえる。マレーシアでの英語読みだと「MOGMOG」も「モンモン」と呼ばれる。本来は「MOGUMOGU」だが、英語のスペルも自分でそう決めたものだ。なんてことを考えているうちに時間がきて中へ。

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 ひめたんはおおむね良好。そう分かるのは、こっちが姿を見せると、首を上げてキョロキョロと反応するからだ。以前はもっとぐったりしていた。置いてあるエサが減っていないので、新たに代えてあげたら少し食べてくれた。首や頬を撫でると、かすかに喉を鳴らす。痛かったり苦しかったりはなさそうだ。撫でながら話しかける。「もう少し、ここにいるんだよ。イイ子だね~ひめたんは」 言葉は分からなくても気持ちが伝わることを願う。


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【猫論】ひめたん、再入院 ~Book Of Days 4~6

 DAY 4

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 入院中のひめたんの呼吸は異常だった。音楽仕事もやっているせいか、腹の激しい動きで見て分かる速い心拍数が頭でBPMに置き換えられる。小さな体がかつて見たこともないほど揺れていて、頭もずっと小刻みに上下。この日、ひめたんは服を着ていなかったが、底に暖かくなるシートが敷いてあった。ICUは寒いからありがたい。酸素ハウスに手を入れてエサを交換したり、撫でたりしていたが、10分ほどすると、ひめたんが酸素不足の金魚のように口を開けてしまい、慌ててハウスから手を抜きジッパーを閉めた。酸素ハウスの酸素が少し抜けるだけでもこの有様だから、相当に厳しい状況だ。面会時間が終わる頃にやってきた医師と話すと、「ここから出せる状況にない」と言われた。「若い猫なら麻酔を打っての処置もできるんですが…」

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 肺炎のみならず、彼女の問題は口内炎からくる食事量の激減もあった。食欲を見せてもドライフードを一粒か二粒、口に入れては痛がり、食べるのを辞めてしまう。ここ数年、2.6キロぐらいあった体重は2キロを切りかけている。自宅では拘束衣を着せて液体の高栄養リキッドフードを与えていたが、1度にたくさん流し込むわけにはいかず、少しづつ回数を増やしてビタミン剤とともに飲ませていたが、それでも体重は増えなかった。少し前には元気に食事の催促をしていたのが最後の健全なひめたんの姿だったのか、と思うと涙が出そうになったが、ミッくんで経験した「死」というこの上ない悲しみを実感したから、いま悲しみたくはなかった。この日は僕が与えたエサはまったく口にしなかった。元気のないひめたんを見た後は何もする気がなくなる。自宅に戻ると3匹の猫たちが寝ていたが、とても寂しい空間に感じた。夜のICUからの電話では、「少し食事をしましたが厳しい状態」と伝えられた。

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【猫論】ひめたん、再入院 ~Book Of Days 1~3

 ひめたんの退院はたった2日間で終わってしまった。呼吸がかなり荒くなり、足がフラついていた。再び病院へ連れて行くと、医師も「再入院が必要」との判断を下し、酸素マスクを口に当てた。ひめたんは銀色の冷たいケージではなく、ビニールハウスみたいな酸素ハウスに入ることになった。

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 DAY 1

 前回の入院時、酸素ハウスに入っている子猫を見た。かなり弱っているように見えたが、眠っていたのかもしれないから、どの程度、深刻だったかは分からない。具合の悪い犬や猫しかいない空間というのはとても辛い。愛猫がそこの一員になるのは、さらに辛いことだった。ICUへの面会は午後3~4時のみ。ロビーでの受付は必要なく、途中インターホンで解錠してもらうドアを抜け、ICUの扉の前まで勝手に入って待つ。ホワイトボードには「HIMETAN」とあり、僕の名前、番号と担当医の名前も併記されていた。時間が来るまでここで待機するのは、ひめたんがどんな状態でいるかと不安になる時間だったが、幸い、ハウスの中のひめたんは落ち着いていた。これがもぐもぐなら憔悴してしまうところ、彼女は動じてない。若いころはもっと臆病だったと思うから、いろいろ悟ったところもあるのだろう。酸素ハウスの中だと呼吸が楽なようで、自宅にいるときほど苦しくはなさそうだったが、それでも腹の小刻みな動きがかなりのハイテンポで、正常ではないのが分かった。面会時に医師が立ち会うとは限らず、多くのインターンが行き交っていた。この日は病院側の誰とも会話なく、1時間後にここを後にした。ICUの中は肌寒く、僕はひめたんが使っていた小さな毛布を中に入れておいた。夜8時30分ごろ、ICUから電話があり、簡単な報告を受けた。「酸素ハウスにいれたまま過ごさせる」とのことだった。

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【猫論】ひめたん、ICU(集中治療室)に入院 ~Stayin’ Alive

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 小食だったひめたんが、ミッくんの死後、なぜか食欲を増し、キッチンにやってきては食事の催促をするようになっていた。さらに夜は外から帰宅すると必ず玄関にやってきて、そのまま外に出て周辺を散歩するようになった。少し歩いてこっちを振り返り、僕の姿をたしかめながらの独特の散歩。長年、控えめな彼女だったが、まるでミッくんの失われた存在感を埋めるような変化を見せた。ミッくんの生前は、よく彼の顔を舐めてあげるのが日課だった。しばらく舐めるのが続くと ミッくんが「もういいよ」と顔を振ってやめさせたりして、いい夫婦だった。

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 ひめたんが元気だと、20歳で亡くなった夫より長生きすることを期待させた。あと1年半の道のりの心配は口内炎と腎臓だった。食事をする度、少し痛がる様子があったから塗り薬と、善玉菌を与える腎臓用サプリ「アゾディル」を与えていた。ただ、食事の催促はするから「食欲があるなら大丈夫だ」と思っていた。



 しかし、12月下旬になって様子がおかしくなった。食事の催促に来なくなり、食べる量が減った。定期的に計っている体重が減少しだして、玄関の散歩もなくなった。ウチから近い小さな病院へ連れて行き、いくらか薬をもらったが、食事をしないことには回復できないので、シリンジで食事を与える日々になった。

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 ※病院の待合室でも騒がない優等生ひめたん

 ひめたんはミッくんに比べて気難しいから、これが大変だった。タオルで作った自家製の拘束衣を着せて、嫌われるの覚悟で食事を少しづつ与え、薬やビタミンなどのサプリを与えた。それでも体重は戻らず、あるときは自分で水を飲もうとして水の前で立ち止まったままという深刻な状況になった。そこで2日に1度は点滴を打ちに病院へ通った。点滴後はいくらか調子は戻った。小さな病院はとても親身になってくれるが、機器が揃っているわけではない町医者。これ以上の危ない状況になったときのことを考えて大学病院へ行くことも相談しながらモニターした。だから年末年始も動物病院にばかり行っていた。

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 ※ウチの床マットは猫が爪を研いでもいいものにしている

 ウチの猫たちは「家族団らん」が好きだ。夜、仕事や食事、シャワーなど僕がひととおりやることを終えて、寝る前にリビングで映画を見るためにテレビを付けると、猫たちはみんなソファーの周りに集う。ひめたんは調子が悪くても、「団らん」にはやってきた。フラフラしながらソファーの背もたれにのぼり、そばにいた。前は5匹だったのが今は4匹の団らんは、いずれ3匹に減るが、いまはそれを考えたくない。最近のひめたんは引きこもりがちで、日中は隅っこでじっとしていることが多かったが、猫というのは無神経なもので、他の若い猫たちがひめたんのお気に入り場所を奪って寝ていたりもする。だから僕は新たにひめたんの入れるボックス型のキャットタワーを購入した。

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 ※マレーシアで入手した日本製!
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 最初はもぐもぐが使ったが、すぐに小柄なひめたんがそこを自分の寝床にした。僕にできることはいつも不十分だ。ミッくんには半身が動かなくなったときに歩行器を作ったが、もっとやれたことはあったはずで、その場で最善かどうか分からないことを積み重ねてばかりだ。

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【猫論】マレーシア伝統武術シラットと、コタバル愛の浜辺

 マレーシアの伝統武術シラットを取材した。起源は諸説あるが、マレー民族が5世紀ごろには継承していた長い歴史があり、現在ではインドネシアやシンガポールなど東南アジアに広がる流派は500以上といわれる。昔、まだ格闘技の試合に出ていた頃、仲間と一緒にインドネシア、ジョグジャカルタの道場に行ったこともあるのだが、今回はマレーシア東海岸の地方都市コタバル。

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「日本人がいなかったら現在ほどシラットは広まっていなかったでしょう」と語ったのは、マレーシア北部の師範、ジャクルさんだ。過去、ブルース・リーがシラットの技術を取り入れてジークンドーを確立したことでも知られるが、もとはスポーツ競技ではなく兵士が習得する格闘技術にあったため、オランダやイギリスが東南アジアを統治した時代に禁止行為となり、多くの道場などが潰された。しかし、これをアジア解放の日本軍が復活させたのである。

「当時の日本人はさらに実戦向けに伝え、この技術自体が理にかなったものだと証明してくれたんです」(ジャクルさん)

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【猫論】ココとナッツ 不思議なカップル~小さな恋のメロディ

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 体調を崩しがちになった先輩猫たちとは対照的に、若さ全開で生きているのが6歳のココ(メス)と5歳のナッツ(オス)。ココは日本にいたときに庭に迷い込んできた子猫を「健康診断と去勢」目的で保護したところ、安静状態が過ぎても逃げずにウチに居座った子。もちろん里親探しはしたが、野良根性が強くて人に懐いてくれず、抱っこも容易じゃなかったから、無理せずにもといた庭でご飯あげながら様子を見るしかないかと思っていたのだが、放心状態だった病院生活を経たあと、ウチの風呂場で正気を取り戻したせいか、そこがホームみたいになった。人嫌いでもウチは好き、という感じだ。その後、マレーシアの転居で再びショック状態になって「人生リセット」になったら、人(猫)が変わったように普通の飼い猫みたいになったのは、「【猫論】ココの人生リセット」にも書いたとおり。いまじゃ普通に抱っこできる。

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 ナッツはココ保護の1年後ぐらいに、「引っ越しの際に置いて行かれた可哀そうな猫」を保護した子。しばらく里親探しでフリーマーケットなどで通行人からケージ内を眺められる日々が続いたが、推定1歳で体が大きくなっていて一番里親が見つかりそうになかったことで、苦渋の決断でウチに連れてきた。ただ、この子は一言で言えば、「最も飼い猫に向いている」猫だった。人を選ばず、誰にでも懐くし、怒ったことが一度もないし、エサも気難しくないし、トイレもちゃんと埋めるし、問題が何ひとつない。目が合うと喉を鳴らしながらおでこを人の顔にスリスリさせてくるから、「猫カフェ要員」に最適な猫である。ただ、ナッツがウチに来たときは当然、ほか4匹が「ヨソモノ」扱いで嫌がった。特にもぐもぐは「なんだこいつ!家に他人が紛れ込んできてるぞ」みたいな感じで、敵意オンリーだった。ナッツ自身は「よろしくお願いしますぅ~」と近づいていくのだが、殴られて耳のあたりから、極小の出血があったりもした。

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【猫論】もぐもぐの寝相 ~マレーシア・レダン島「クロポー食べた?」

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 もぐもぐ記事ついでに、寝相の悪い写真を3点。ちょっと着替えている間にこれだ。ベッドのシーツを取り換えたり洗濯物を運ぼうとしていた矢先、その上で寝ちゃうもんだから、動かせなくなる。だって、眠ってる猫たちっていかにも気持ちよさそうで。

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 もぐもぐは、キングサイズベッドの上に置いた小さな猫ベッドでちゃんと寝るんだが、必ずはみ出る。なんだか酔っ払いみたい。

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 こうなると、ほとんど猫ベッドは意味がない、もぐもぐ。大股開きはどんなときも譲れない。

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 さて、断片的すぎるマレーシア生活リポート。実はもう半年以上前の話だが、雨季明けに東海岸のレダン島に行った。マレーシアは古い航路が栄えた歴史から、西海岸のペナン、ランカウイがリゾートアイランドとして有名だが、海がきれいなのは太平洋側。こちらは小さい島が多く、LCCでひとっ飛びというわけにはいかない。ちなみにレダン島のスペルは「REDANG」だがマレー語の発音的にはルダンに近い。クアラルンプールからは、クアラ・トレンガヌという都市までLCCで1時間。セールで航空券を買ったら片道1000円ぐらいだった。夜中に着いて1500円ぐらいの安ホテルに一泊、明朝、島へ行く…というスケジュールも実は猫たちのため。日頃はできるだけ長期外出をしない。日本でも猫たちのためだけに家政婦さんを雇っていたぐらい、なにより大切。


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【猫論】もぐもぐ、14歳 女子アナも「キュンときた」仕草 ~台所のバイト

 もう何カ月も経ってしまったが、もぐもぐの誕生日は手製のフォトフレームを作った。これも猫が喜ぶわけじゃないが、僕には何も彼らの可愛さを表現していく才能がないから、せめて現在、自分の注いだ愛情の形を残そうと思った。ミッくんの死後、そういうことばかり考えるようになってしまった。

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 一緒に撮影しようとしたが、じっとしてくれない。

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 この素材で作るのは初めて。まだ写真を入れてない。

 もぐもぐはウチで一番の甘えん坊で、とにかく行くとこ行くとこ付いてくる。トイレにまで付いてくる。目が開く前から拾った唯一の子で、手のひらサイズの彼に哺乳瓶を咥えさえ、毛布にくるんでそっと眠らせ、泣いたら下腹部を軽くさすってティッシュペーパーでおしっこを出させ、そして、またミルクを与える、という繰り返しで育てたのが最初だ。

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 ※幼少期

 うっすら目が見えてきたかというとき、目の前にあったのは僕の顔だから、彼は僕を親だと感じ、自分を人間だと思い込んでるところがあって、ひとりだけ他の猫たちとスキンシップをしたがらない。その分、僕にはべったりで「抱っこ、抱っこ」の催促がうるさい。もう14歳のくせに昨夜も夜中3時ごろ泣き出し、僕は朦朧としながら「もぐもぐー」と応えると布団にもぐってきた。ちょっと暑くなったら出ていくから、おかげでこっちは寝不足だ。

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【猫論】ひめたん、18歳のバースデイ ~ドリアンとナシレマ・マクド

 悲報の中で迎えたのが、長女ひめたん18歳の誕生日祝いだった。誕生日といっても、みんな拾った猫たちだから正確な日付は分からない。多くは夏に拾ったが、猫は基本、春に妊娠して夏に出産なのだから当然だ。ミッくんの推定は僕と同じ6月で、一緒に年を重ねてきたつもりだった。あとは、そこから覚えやすいよう順にして、ひめたん7月、もぐもぐ8月、ココ9月、ナッツ10月と勝手に決めていた。奇しくも、ナッツは初めて出会ったのが10月だった。これはマレーシア入国時の公式書類にもそう記載した。(つまり現在はココの誕生日まで日が進んでる/笑)

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 猫の誕生日を祝うといっても、猫はそれを理解できないから、こっちが勝手に値段の高い高級缶詰をあげるぐらいしかできないし、何の盛り上がりもないのだが、猫が高齢になると本当に祝いたい気分にはなる。ミッくんは20年も頑張ってくれた。ひめたんはその後を追う18歳だ。最近、腎臓が少し弱っていて、薬を飲ませることになった。猫の腎臓は悪くなりやすく、完全な回復はあまり見込めない。悪化を遅らせるのが精いっぱいだ。ただ、近年、画期的な薬品が販売されていて、3種の生きた善玉菌を飲ませて改善させる「アゾディル」(AZODYL)に望みを託せるようになった。




 ただ、このカプセルは菌を生かすため要冷蔵。マレーシアでも入手できるが、輸送時にちゃんと冷蔵できていなければ無意味だから、信用性の問題で日本から持ち込んだ。90カプセル、2キロ以上なら朝晩1つづつだが、ひめたんは2キロちょっとしかないから医師が1日1カプセルを推奨。粒が大きく、口の小さいひめたんに飲ませるのは大変な作業だ。ミッくんはおとなしく薬を飲んでくれる超優等生だったが、ひめたんは「イヤなものはイヤ!」と気高いのでそうはいかない。タオルでグルグル巻きにして抵抗できなくして喉の奥に突っ込み、吐き出されたら再度トライ。イヤな思いをさせるから飲ませた直後、大好きな鰹節を少し用意しておいてなめさせると、機嫌は直る。ごめん、ひめたん。

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 ミッくんの死があったから、ひめたんの18歳は祝いたい気分が増した。300円ぐらいで手に入れたドレスを入手し、着させて写真を撮り、「18」の文字を入れたフォトフレームに入れ、即席のひめたん人形を飾った。全部、飼い主の自己満足。でも、祝うのだ。ハッピー・バースデイ・トゥ・ヒメタン!
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【猫論】ミッくんの葬儀 ~マレーシアでのペット火葬と、書けなくなった猫論

 猫論が書けなくなってしまっていた。ミッくんの命が消えた夜から後のことは強い記憶になっていたのに、それを思い返して文章にするという作業が、僕には耐えられず、どうしてもできなかった。

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 目指していたわけでもない物書きが職になって20年以上、与えられた仕事をほとんど選ばず必死にこなし、気がつけば長く仕事を続けられるだけのスキルは身に付き、毎朝、机に向かって原稿を書くのが僕の「通勤」になった。毎朝、起床して間もなく最初の5行ぐらい書ければスムーズに進み、多いときで1日5本を書き上げることもある。逆に、歯を磨いて顔を洗っても、どうも頭がスッキリせず文章が書けないというときもある。ただ、エンジンがかからないときはメールの返答やブログの更新、仲間とのチャットなど、何かウォーミングアップをすれば、だいたい仕事に取り掛かれる。まったく文章が書けないということはなかった。それが初めて「書けなくなった」。頭の中でミッくんについて考えていても、文章にできない。しばらく書かなくてもいいじゃないかとも思ったが、ミッくんの死後、自分に望んできたのは、彼の記憶をできるだけ生々しくとどめることだった。「以前、こんな猫を飼っていたんです」と、ミッくんを過去形にしていく自分になりたくなかった。だから本当はすぐにでも記憶を冷凍保存するように書いておきたかったが、文字が出てこなかった。他のことは書けるのに、ミッくんについては「最初の5行」が僕にはとても重かった。



 ただ、9月の後楽園ホール、女性に声をかけられた。「猫の記事を読みました」と気遣ってくれた。クアラルンプールでも日本人の友人に「ブログを読んで泣いてしまった」と言ってもらい、コメント欄にたくさんの優しい言葉が届いた。そういうのが、「いずれ伝えなきゃいけない」という思いを強くさせてもいた。猫を飼うというのは、とてもプライベートな範疇のことだが、気にしてくれる人がいる。JBCの冨樫光明リングアナにも、「職場で読んだら途中から涙が出てきて直視できなくなった」と言われた。僕はミッくんの死を誰にも伝えていなかったから、ここで伝えることになったのだけれど、冨樫アナには自分の気持ちを少し伝えたら、20年以上前の雑誌を送ってくれて、そこには「子供の死 不条理を生き抜く」という特集があった。

「やっぱり片岡さんにとってミッくんの死は「子どもの死」だったんですよ。親の死は辛いけど、それはほぼ全ての人間にとっては条理だけど、子どもの死はこれ以上ない不条理」(冨樫アナ)
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